オラ無駄堂

「ほぼ発達障害」脳を乗りこなす日々

​ 上司による、部下の心の正しい折り方入門 〜「やる気あるのか」編〜

   

医療っぽい商売をやっていると、抑うつ障害や不安障害をともなう身体症状でいらっしゃる患者さんも少なくない。

 

どのような契機でひとの心は折れるのか、ということについて私は以前から興味があったが、会社での仕事が原因でうつ病の既往歴のある方はほぼ間違いなく上司との関係がうまくいっておらず、また、かなりの確率で、二つの言葉を浴びせられていることが分かった。その言葉とは、
「やる気あるのか」
「おれ(私)を馬鹿にしているのか」
の二つである。

今回は、前者の「やる気あるのか」を題材に、どうやったら上司であるあなたが、たやすく部下の心を折って行けるかを検討していこう。

その部下を今日の社会人たらしめているありとあらゆる教育投資(両親・家族が育児・教育に注いだ体力精神力経済力、さらには国や自治体が医療機関や教育機関に対して注いだ業務リソースと税金、そして医療・教育現場の人々の業務リソース等々)を、あなたは「やる気」を問い続けるだけで、簡単に水泡に帰すことができるのである。

「やる気」と「やる気のアピール」の間の深くて暗い溝

そもそもの話をすれば、「やる気」なんてあろうがなかろうが、最低限の成果を出さねばならぬのが仕事というものである。

いや、「やる気」を見せることが大事な職種だってあるじゃないか、という反論が聞こえてきそうだが、「やる気があること」と「やる気があるようにアピールすること、振る舞うこと」はまるで違う。

私ごとで恐縮だが、会社員をやっていた頃、自分としては「やる気マンマン」でバリバリと頑張っているつもりだったのに「やる気があるように見えない」と一蹴され、何をしても落ち着いて見える自分のビジュアルを呪ったものである。だからこの文章を私に淡々と書かせているのは、「やる気」なるウンコな概念に対する私怨かもしれない。

「やる気」というパラメータの不毛

さて、あなたが誰かの上司ならば想像してみていただきたい。<触れたら火傷しそうなほどにギラギラと「やる気」に満ちた新人部下が、無駄に徹夜した挙句、どこから突っ込んだらいいか分からないほどに壮大な、無意味でスカスカの成果物を手に「褒めて褒めて」とキラキラした目でこちらを見ている>時の気持ちを。

「やる気」というパラメータを、仕事の現場でのメインの判定基準にする危うさは、この例ひとつ見ても明らかである。「やる気」は言わばエンジンの出力であって、目的地に行くにはどんなルートで行けばいいのか、現在地はどこなのか、方法は適性か、そもそも冷静に考えてそこに行く必要があるのか、といった諸々とコミでないと、ほぼ意味のないパラメータなのである。

エンジンの出力が無いなら無いなりにどうやったら目的地に行けるかを考える方が大事で、軽自動車相手に力づくで山道を進めというのは感心しない話だ。

「やる気」を問う、という攻撃

成果が出せるかどうかに着目するならば、この「やる気」には、大した意味もない。むしろ「やる気」があるのはいいことだということを前提にした叱責は、害悪ですらある。

なぜならば、こんなことを言われた人間は「やる気」というものをシッカリ出してからでないと動いてはいけないのではないか、と考えるからである。でも、動く前から入る「やる気スイッチ」なんて、存在しない(※いや、あるよ!という反論が聞こえそうだが、その話は長くなるのでここでは措く)。結果として、言われても出もしない「やる気」を出そうとすればするほど動けなくなり、行動量が減るので成果もより出せなくなるという悪循環に陥る。
で、あるからして。

 

もしあなたが上司であって、積極的に部下の心を折りたいのであれば、簡単である。部下のあらゆる行動に対して「やる気あるのか」と叱責して罵声を浴びせ続ければいい。中にはとてつもなく上手な「やる気アピール」をしてくる輩がいるが、そんなものに怯むことなく、積極的に「やる気」の足りなさを責めるのだ。

 

とはいえ、これをやってもまったく潰れないまったく不届きな部下がいて、その場合は、どんどん成果が出続けてしまうことがある。それを許せない場合は、なるべくどんなに頑張っても業績や成果に結びつかないつまらない作業を与え、それに対して不満げな様子を見せたら、チャンス。ここぞとばかりに「やる気あるのか」と叱責して罵声を浴びせ続ければいい。

 

これでも潰れない場合は大変である。そんな部下は、やがてあなたより出世して、あなたに「やる気出せ」とか言ってきて、あなたを潰しにかかってくる可能性がある。ぜひ潰しておかねばならない。

 

そんな部下の潰し方については、執筆予定の有料コンテンツ「部下の心の正しい折り方 実践と応用」をお読みいただきたい。
いずれやる気が出たら書くんじゃないかな。

 

※部下の心を折らずに行動を変えたいなどという奇特な方にはこの本がオヌヌメである

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